弁護士の料金体系と費用の相場
離婚や浮気の慰謝料請求を行うとき、全て自分で対処するのは大変ですので、弁護士への依頼を検討される方も多いのではないでしょうか。
弁護士を始めて利用する方にとっては、弁護士費用の相場が分かりずらいため躊躇してしまったり、弁護士費用は高額だと思い不安を感じる方も居ると思います。
弁護士費用は、依頼する内容により明確な料金が決まっている訳ではなく、様々な料金が組み合わさって決まる料金体系になっていることも料金の相場が分かりずらい原因だと思います。
弁護士の仕事は、依頼内容に合わせて個別に対応する必要がありますので、手間と時間が掛かることから決して安いものではありません。
ただし、料金以上の金銭的メリットが得られることありますし、交渉のストレスから解消されるなどのメリットもあります。また、依頼内容によってはそれほど高額にならないこともあります。
弁護士の料金体系と費用の相場ついて紹介していきたいと思います。
弁護士に依頼した場合にかかる費用
離婚や浮気の慰謝料に関する問題で弁護士に相談を考えている方の中には、弁護士費用が高額になると考え躊躇っている方も多いのでないでしょうか?
弁護士費用は「離婚問題は○○円」「慰謝料請求は○○円」のように一律で決まっているものではなく、依頼内容や結果に対して料金が発生しますので、初めて依頼される方には料金体系が複雑で弁護士費用が分かりずらい原因の一つにもなっています。
まずは、どの様な仕組みで弁護士費用が発生するのかを理解する必要があるでしょう。
弁護士費用は主に以下のような料金が発生します。
・法律相談費用
・着手金
・成功報酬金
・日当
・自費
上記料金がどのような意味がある料金なのか、相場が幾らくらいかをご紹介していきたいと思います。
法律相談費用
弁護士に相談をするときにかかる費用です。
通常は電話などで日時を予約をし、弁護士事務所に伺い相談をすることが一般的になります。
弁護士から法的なアドバイスを受けることができますので、離婚に関する財産分与、慰謝料、親権など、不安なことを弁護士に相談することが出来ます。
相談費用の相場は1時間につき5000円~10000円程が相場になります。最近では初回の30分や1時間の相談を、無料で行っている弁護士事務所もあるようです。
弁護士への相談費用は、それほど高額ではありませんので不安なことがある方は相談してみると良いのではないでしょうか。
なお、弁護士に相談をしたからと言って必ずしも依頼する必要はありません。相談の結果、弁護士に依頼するかしないのか、又は他の弁護士にも相談してみるのかを決めることができます。
着手金
着手金は、弁護士に依頼をする際に支払う必要がある費用です。
結果が自分の希望通りに「終わった・終わらなかった」にかかわらず支払う必要がある費用になります。
そのため、自分の希望通りの結果にならなかった場合や途中で依頼をやめた場合でも、返金を求めることは基本的に出来ない費用となります。
着手金の相場は依頼内容により異なり、同じ離婚をする場合であっても協議離婚か裁判離婚かで当然異なる事になります。
また、離婚の成立だけをお願いするのか、親権、財産分与、慰謝料などもお願いするのかで料金が変わることになります。
協議、調停、裁判離婚の違いはこちらをご確認ください。
■ 協議離婚の着手金(話し合いにより離婚が成立する場合)
通常の協議離婚は夫婦2人の話し合いで離婚条件を決める事になりますが、夫婦の話し合いだけでは解決しない場合や相手が話し合いに応じない場合には、弁護士に協議離婚をまとめるため交渉を代理してもらうことが出来ます。
弁護士が間に入ることで、相手が話し合いに応じたり交渉がスムーズに進む場合が多いだけでなく、離婚後のトラブルなどを避けることが出来る場合もあります。
料金の相場は、何処まで依頼するかのより異なりますが、おおよそ10~20万円が相場になります。
■ 調停離婚の着手金(裁判とは異なり調停委員が2人の妥協点をさがします)
離婚調停は、裁判とは異なり夫婦2人の間に調停委員が入り妥協点を探す方法です。
調停で離婚を成立させる場合には、弁護士に依頼しなくてもあなた個人で調停を行うことが可能です。
ただし、調停委員はあくまでも2人の間に入る中立的な立場であるため、調停委員があなたの見方をしてくれる訳ではありません。
そのため、あなたの主張を代弁してくれる弁護士に依頼し、話し合いを有利に進めたい場合に弁護士に依頼することが多いようです。
料金の相場は、何処まで依頼するかのより異なりますが、おおよそ20~30万円が相場になります。
■ 裁判離婚の着手金(法的強制力があり判決により離婚が決まります)
裁判離婚とは、その名前の通り裁判により離婚を成立させる離婚方法です。
裁判で離婚を成立させる理由は様々ですが、夫婦の話し合いや調停を行っても相手が離婚に同意しない場合であり、離婚条件(親権や財産分与)でお互いが合意できない場合が多いと考えられます。このような場合には、裁判により離婚及び離婚条件を成立させる必要があります。
裁判には法的な強制力があるため、どちらかが納得できない判決であっても、裁判の結果には従わなければいけません。
料金の相場は、何処まで依頼するかのより異なりますが、おおよそ30~40万円が相場になります。
協議離婚を弁護士に依頼し話がまとまらなかった場合には、調停に進むことになるのですが、通常は調停の着手金が別途必要になります。また、調停で離婚が成立せず裁判に進む場合にも、着手金は別途必要になります。
ただし、このような場合には新たな着手金を減額してくれる弁護士事務所もあるようです。
成功報酬金
成功報酬金の基本的な考え方は、契約した結果が得られた場合に支払いが必要になる費用で、契約した結果が得られない場合には支払う必要が無い費用になります。
成功報酬金の取り決めは少し複雑になり、弁護士事務所によっても異なる場合が多いので、依頼前にしっかりと確認をするようにしましょう。
一般的には離婚が成立した時点である程度の費用が発生し、親権などが得られた場合には別途必要になる契約が多いようです。また、財産分与や慰謝料など金銭的メリットを得た場合には、受け取った金額の10~15%が成功報酬金の相場になることが多いようです。
養育費のように支払期間が長期間になる場合には、今後2年間に支払われる金額に対して成功報酬金が発生する取り決めがなされる場合が多いようです。
成功報酬金の料金相場は、一概に言えませんが離婚が成立した時点で30~50万円。親権が取得できた場合には別途10万円などの料金が掛かることが多いようです。
日当
裁判所が遠方な場合などで出張が必要な場合などにかかる費用になります。
調停離婚の場合には、相手の居住地の裁判所で行う必要があります。そのため、別居などで相手が遠方に住んでいる場合には、弁護士の日当が必要になることもあるでしょう。
日当の相場は、1日当たり3~5万円程の料金が一般的で、複数日になるとある程度の金額が発生することも考えられます。
自費
弁護士が依頼を行う上で、実際に掛かった交通費、宿泊費、印紙代などを自費と言います。
通常弁護士に依頼した場合には、活動にかかる自費が別途請求される契約内容になります。
■ 協議離婚の自費
協議で離婚が成立する場合には、自費は余りかから無い場合が多いでしょう。
裁判とは異なり印紙代などは掛からないため、遠方の弁護士に依頼した場合や相手が遠方にいる場合などを除き、数千円で収まる場合が多いでしょう。
■ 調停離婚の自費
家庭裁判所に収める印紙代や切手代などが掛かりますが、これらの費用は4000円前後で通常は収まる場合が多いようです。
印紙代以外では、裁判所が遠方になる場合では往復の交通費や宿泊費が必要な場合もあり、その費用を支払う必要があります。
離婚調停の管轄裁判所は相手の居住地になります。そのため、すでに別居をしている場合や単身赴任などで遠方に住んでいる場合には、ある程度の費用が掛かるケースが考えられます。
■ 裁判離婚の自費
離婚裁判のみの場合には印紙代は13000円ですが、慰謝料を請求する場合には慰謝料の金額により印紙代が別途発生します。また、切手代や調書の謄写代なども必要になるため、合計すると数万円の費用を考えておくべきでしょう。
もちろん交通費や宿泊費が必要な場合には、それらの費用も別途必要になります。
離婚に掛かる弁護士費用の総額
離婚にかかる弁護士費用の総額は、依頼する内容などで大きく異なります。
そのため一概に料金の相場を言いうことは出来ませんが、おおよそ下記の料金が弁護士費用の目安となるでしょう。
・協議離婚 15~40万円
・調停離婚 30~70万円
・離婚裁判 60~120万円
実際に離婚をされる方の大半は、協議又は調停で離婚が成立している現状があります。裁判まで行う方は離婚者全体の1~2%と言われていますので、殆どの離婚は協議や調停で成立していることになります。
弁護士に依頼した場合には、ある程度の費用が掛かることに間違いありませんが、夫婦間の話し合いのストレスから解消されたり、早期に離婚が成立出来る可能性もあります。また、DVなど夫婦での話し合いが出来ない場合には、弁護士は強い味方になるでしょう。その他にも、早い段階で弁護士に依頼することにより、調停や裁判まで行わずに協議で離婚が成立することもあるようです。
弁護士は、あなたの希望する離婚条件を得るために力を貸してくれる存在です。夫婦間の話し合いだけでは解決が出来ない場合には、弁護士に相談してみるのも一つの方法です。。
弁護士事務所により料金が異なる
平成16年までの弁護士費用は、日本弁護士連合会が定めた弁護士報酬基準に従って決められていましたので、何処の弁護士に依頼をしても基本的には同じ料金でした。
現在では、規制緩和でこの基準が撤廃されていますので、各弁護士が自由に料金を定めることができるようになっています。
規制が緩和された現在でも、旧弁護士報酬基準を参考にして料金を決めている弁護士も多いようですが、離婚等の民事を多く扱う弁護士事務所では独自に料金を決めている弁護士も増えているようです。
そのため、各弁護士事務所により料金に違いがあることになります。
弁護士費用はもちろん大切ですが費用だけで弁護士を選ぶのではなく、依頼する内容の経験が豊富な弁護士に依頼すると良い結果が得られることもあるでしょう。また、親切に対応をしてくれるなど、弁護士とあなたとフィーリングが合うことも弁護士を選ぶ大切な要素ではないでしょうか。
法律相談のネット予約プラットフォーム「弁護士予約カケコム」に、無料相談の見えないデメリットや有料相談と無料相談を使い分けるポイントを紹介する記事がありましたので参考にしてみてください。