同意がなくても離婚が認められる条件
夫婦が離婚をする場合には、夫婦の双方が離婚に同意すれば離婚をができます。
夫婦の双方が離婚に同意していれば離婚届けを提出するだけで離婚が成立しますので、離婚ができないと言った問題は起こりません。
しかし、夫婦の一方が離婚に同意していない場合には、もう一方が離婚をしたくても原則として離婚はできません。
結婚をするときに双方の合意が必要なのと同じで、離婚でも原則として夫婦双方の合意が必要です。
離婚に同意しない理由はさまざまですが、感情的になってしまい離婚の話し合いすら難しい場合も多いようです。また、離婚後の生活など金銭的な問題を考えて、離婚に同意しない方も少なくないようです。
このように夫婦の一方が離婚に同意しない場合でも法廷離婚事由があれば裁判で離婚が認められる場合があります。
相手の同意がなくても離婚を成立させられる法廷離婚事由を紹介します。
夫婦の一方が離婚に同意しない理由
夫婦関係が破綻している場合でも、一方が離婚に同意しないケースは決して少なくありません。夫婦関係が破綻しているのに、どうして離婚に応じないのかと不思議に思う方もいるかもしれませんが離婚問題はそんなに簡単ではありません。
夫婦の一方が離婚に同意しない理由には次のものが多いようです。
離婚に応じない理由とは
・夫婦仲が険悪になっており話し合いができない。
・意地やプライドなど感情的な理由で同意しない。
・離婚後の生活など経済的理由で離婚したくない。
・相手の所在が分からず離婚の話し合いができない。
・親権で合意ができず離婚が成立しない。
・財産分与、慰謝料、養育費など金銭的な取り決めが決まらない。
相手が離婚に同意しない場合でも「法定離婚事由」が証明できれば、裁判で強制的に離婚の成立が可能です。
また、親権、財産分与、慰謝料などに関しても、相手が同意しなくても裁判の判決には従わなければなりません。
つまり、法定離婚事由がある場合には、相手が離婚に同意しなくても裁判で離婚を成立させられます。
裁判と聞くと躊躇してしまう方も多いと思いますが、離婚問題で裁判まで発展するケースは少なく全体の1%前後で90%は協議離婚が成立しています。
裁判で離婚が認められる「法定離婚事由」がある場合には、相手は裁判をしても結果が変わらないと考えますので、ほとんどのケースで話し合いでの離婚に同意しているようです。
法定離婚原因とは
法定離婚事由(ほうていりこんじゆう)とは、民法第770条によって規定されており、相手の同意がない場合に裁判で離婚を成立させる際に必要となる5つの事由(原因)です。
簡単に言うと、法定離婚事由の5つの何れかに当てはまる場合には、相手の同意がなくても裁判で離婚を成立させられます。
法定離婚事由(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
配偶者に不貞な行為があったとき。
民法で規定されている不貞行為とは、「配偶者があるものが、自由意思で配偶者以外の異性と性的関係を持つこと」と定められています。
性的関係がないデートやキスでも浮気と考える方も居ると思いますが、原則として離婚理由としての不貞行為とは認められません。
(※このような場合には不貞行為には当てはまりませんが、程度によっては「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」と認められる可能性があります。)
配偶者の不貞行為が原因で婚姻関係が破壊された場合には、裁判で離婚を成立させられる可能性があります。
ただし、全ての場合で離婚が認められる訳ではありません。次ような場合には離婚が認められない可能性があります。
すでに別の原因で婚姻関係が破綻しており、その後に行われた不貞行為では不貞行為が原因で婚姻関係が破壊されたとは考えられないため、離婚が認められない可能性があります。
例えば、夫婦関係が破綻しており別居をした後に行われた不貞行為では、離婚が成立しない場合が多いようです。
よくある質問の一つですが、風俗で行われた不貞行為や金銭の受け渡しがある不貞行為でも不貞行為には変わりありませんが、離婚が認められない場合も多いようです。このようなケースでは、何度も止めるように言っても通い続けたなどの条件が必要になるケースがあるようです。
レイプや強姦など合意がない性交渉の被害者に関しては、自由意志で行ったとは考えられませんので離婚は認められません。
配偶者から悪意で遺棄されたとき。
夫婦は同居協力扶助義務という義務(民法752条)を負っていますが、この義務を正当な理由なく果たさないのが悪意の遺棄にあたります。
具体的には、正当な理由なく配偶者との同居を拒んだり、夫婦間の協力をしない行為、配偶者と同一程度の生活を保障してくれない、家から追い出すなどが当てはまります。また、浮気相手の家で生活をする行為も悪意の遺棄と認められる可能性は高いでしょう。
ここで重要になる部分は、「正当な理由があったか」の部分です。
仕事で単身赴任をしている場合、事故や病気で仕事ができず生活費を渡せない場合には、正当な理由と判断され悪意の遺棄には当たりません。
配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
配偶者の生死が不明の場合には、協議離婚や調停離婚の「話合い」ができませんので、協議離婚や調停離婚が物理的に難しくなります。
そのため、3年以上の生死不明の場合は裁判で離婚が認められる可能性があります。
(※通常は調停前置主義といって、調停を経ることなく裁判はできません。)
この理由で離婚を成立させた場合、離婚成立後に相手の生存や所在が確認できたとしても判決が変更になったり取り消しにはなりません。
家出をして行方が分からない場合や夫婦喧嘩や虐待で別居し所在が分からないなど、生存していると分かっている場合には生死不明には当たらず離婚は認められません。
ここで言う生死不明とは、あらゆる手段を尽くしたが生死すらわからなかった場合に限定されます。
連絡を取っていないだけの場合や相手を探していない場合には、生死不明とは判断されず離婚は認められません。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
民法では配偶者が強度の精神病に掛かり、回復の見込みがない場合には離婚ができると定められています。
強度の精神病かどうかや回復の見込みがないかの判断は精神科の医師による診断が必要で、最終的には裁判官が離婚を認定します。
ただし、全てのケースで離婚が認められる訳ではなく、「病者の今後の療養や生活などについて、できる限りの具体的方途を講じ、ある程度において前途にその方途の見込みの付いたうえでなければ離婚の請求は許されない」と言う条件が必要です。
簡単に言うと、「離婚後の配偶者の生活の世話や金銭などの目途を立てなければ離婚できない」ということです。
金銭的な面も含め配偶者の面倒を見たいが、子どもや自分のために再婚を考えているなどの理由であれば、離婚が認められる可能性があると考えられます。一方で、ただ新しい異性との生活を送りたいだけでは認められないでしょう。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
いわゆる一般条項と言われているもので、上記の4つの離婚原因にあたらない場合でも、「婚姻関係が破綻して回復の見込みがない場合」には裁判で離婚が認められる場合があります。
抽象的な項目で判断が難しい離婚条件ではありますが、過去の判例から次のような場合に離婚が認められているようです。
・暴力や虐待など(DV被害)
・正当な理由なく長期間別居生活をしている
・性交不能、性交拒否、性的異常(セックスレス)
・日常生活が送れないくらいの浪費やギャンブル依存
・薬物中毒、過度のアルコール中毒
・勤労意欲の欠如(健康であるのに労働の意欲がない場合)
・性格の不一致
・犯罪行為、服役
・異常なほどの宗教活動
・配偶者の親族との不仲
これらの問題があった場合でも、全てで裁判所が離婚を認める訳ではありません。裁判では「全ての状況に照らして考察し、この事柄が婚姻を継続し難い重大な事由に当たるのか」を個別に判断します。
配偶者を嫌いになったり性格が合わないなどの理由は、離婚の正式な原因として法律では認められていません。ただし、性格の不一致を起点として、不貞行為や悪意の遺棄などが起こった場合、夫婦関係が破綻したという事情がある場合には離婚請求が認められる可能性があります。
法定離婚事由を証明する必要がある
法定離婚事由の事実があれば、無条件で離婚が認められる訳ではありません。
ここで問題になるのは、配偶者が法廷離婚時由の事実を認めていない場合です。
例えば、配偶者が不貞行為を認めていれば浮気の有無での争いは起きませんので、裁判で離婚が成立する可能性は高いと考えられます。しかし、配偶者が不貞行為を否定している場合には、どちらの主張が事実なのかが分からなくなってしまいます。
このような場合には、第三者が浮気があったと判断できる客観的な証拠が必要になり、原告であるあなたが浮気の事実を証明しなければいけません。
また、配偶者が家出をして所在が分からないだけでは、あらゆる手段を尽くしても生死すらわからなかったとは言えませんので、裁判をしても離婚が認められる可能性はないと考えられます。
さまざまなケースがありますが、あなた1人では裁判で認められる証拠を集めることが困難なケースが多いと思います。
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離婚が成立する具体的な証拠
不貞行為に関しての証拠
裁判で離婚が認められる不貞行為とは、性的関係があったかが重要でデートやキスでは認められない場合が多いようです。また、メールやLINEで浮気を思わせるやり取りがあれば、浮気の状況証拠としては大きな意味を持ちますが決定的な証拠にはならない場合があります。
不貞行為を直接証明できる証拠があればベストですが、性行為は通常は密室で行われるため性行為を直接証明する証拠は現実的ではありません。
そのため、性行為が行われた直接の証拠がなくても、「そう推認できるに至る充分な状況」が証明できれば不貞行為が認められます。
例えば、ラブホテルに出入りしている写真やマンションなどの密室に一定の時間いた証明ができれば、不貞行為をしていたと推認できるに至る十分な状況と判断される可能性が高いです。
ただし、このような証拠があっても必ず不貞行為が認められる訳ではありません。
ラブホテルの場合には、通常性行為を行う場所であると認識されていますので、不貞行為があったと認められる可能性は非常に高くなります。一方で、自宅やマンションに一定時間滞在していた証拠があっても、「不貞行為はなく相談を聞いていただけ。」「他の人も居て男女の関係はなかった。」などと主張して言い訳をしてくるケースも少なくありません。
このような場合には、手をつないだり腕を組んでいる写真、キスをしている写真、通常は男女の関係にある人が行く場所での写真などがあれば不貞行為をより確実に証明できます。
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浮気の証拠と言ってもさまざまなものがあり、細かな部分の違いが大きな結果の違いにつながる場合があります。
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不貞行為以外の証拠
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